先日、”酒とバラの日々”という映画を観まして、
今回はその感想をつらつらと書きたいと思います。
”酒とバラの日々(Days of Wine and Roses)”
1962年 米
監督:ブレイク エドワーズ
脚本:J・P・ミラー
主演:ジャック レモン / リー レミック
音楽:ヘンリー マンシーニ
この映画を観た個人的背景はですね、
音楽がヘンリー マンシーニ氏が手掛けたものであったからです。
正直それ以外の事前情報はまったく知らず、
タイトルから何となく酒と女を愛するダンディな男の物語かな、、、?
くらいにしか思ってませんでした。
(何なら白黒映画なのもりませんでした)
私の推しのアーティストがヘンリー マンシーニ氏の音楽が好きで、
カバーをしていたり、しばしば名前が出てくるので興味を持ち、
彼が音楽を手掛けた映画を観てみようとなりました。
で、観た感想を一言で述べると、
哀しい(重め)。。。
これに尽きますね。
ざっくりと映画の概要を書くと
"酒によって男女の人生が狂っていく"という話でした。
以下映画の大筋と感想(ネタバレ注意)
広告店につとめるジョー(主人公)が、取引先のパーティーで偶然出会ったハーステンと恋に落ちます。
白黒なのですが、二人の表情と海辺の景色がステキな恋が始まりを予感させてくれました。
その後、ハーステンの父親にジョーを紹介するために実家に行きますが、
”好きになるのに時間がかかりそうだ”
と言われてしまいます。
連れてきた結婚相手を家族が気に入ってくれないというのはよくありそうな展開で、それでも二人はめげずにいたと思います。
やがて子供が生まれ、ハーステンは子育てに追われるようになりました。
また、ジョーは仕事の不満をハーステンにぶつけるようになります。
出会った当時、ハーステンは酒を全く飲みませんでした。この頃から二人で頻繁に酒を飲むようになり、ジョーに隠れて自ら酒を飲むようになります。
この辺から明らかに不穏な空気を感じました。
やがてジョーは二日酔いを仕事場に持ち込むようになります。
4年で5回も仕事をクビになり、
そこでようやく自分たちがアルコール中毒に陥っていることに気が付きました。
この辺の描写が面白かったです。ふとショーウィンドウに映った自分の姿を観たジョーの乱れた髪ややつれた顔がアップで映ります。
また部屋を見回しても物が少なく、ハーステンに浮浪者だ!というのです。
確かに序盤ではジョーの髪はまとまっていたし、ハーステンの白黒ながら金髪もつやがあってきれいだと思いました。
結婚前のハーステンのアパートには色々なものが飾ってありましたが、
この頃の部屋の棚はスカスカでした。
クビになったジョーは酒を断ちつつ、
ハーステンの父がしている園芸の仕事を手伝うようになりますが、
こっそり部屋に持ち込んだ酒を二人でのんだり、
こっそりと植木鉢の中に隠した酒が見つからず、
商品の植木を大量破壊するなどして大暴れしてしまいます。
この描写はアルコール中毒は理性を崩壊させ、
人間を狂気に走らせる恐ろしさを語っていました。
ジョーはその後アルコール中毒の更生会に通うようになり、
会の助けもあって断酒に成功します。
一方、ハーステンは自分がアルコール中毒だと認めず、
一緒に飲んでくれないジョーに不満を持ち家出をしてしまいます。
モーテルから電話を受け、彼女を迎えに行きますが、
断り切れずに再び飲酒をしてしまいます。
モーテルでのやりとりが映画を通じて一番悲しかったです。
ジョーはハーステンから酒を勧められても断り、
説得を諦めて部屋を出ていこうとするのですが、
その背姿にハーステンが "寂しい" と一言声をかけるのです。
ジョーの頭の中ではきっと断酒するという意思と、
一人きりで寂しいとつぶやく妻への愛との葛藤があり
思わず見ていて涙がでました。
その後更生会に飲酒がバレ、囚人のような全身拘束を受けたりして、
再び断酒に成功。
しかしハーステンは相変わらず酒を飲み続けていました。
この頃にジョーは娘と二人で暮らすようになっており、
ある夜にハーステンが訪ねてきて家族三人での生活を取り戻したいとジョーに言いますが、酒なしでというジョーの固い意志に、悲しげに出ていきます。
アパートの窓から目でハーステンを追うジョー。
ふらつく足取りでハーステンは去っていきました。
ここが映画のラストシーンで、
ジョーが窓からハーステンを追うシーンはみててつらいものがありました。
、、、以上
クリスマスに観るには重い、重すぎる映画でしたね、、、、、。
この映画は何を描きたかったのでしょうか。
個人的にはアルコールは社会性・人間性を崩壊させるおそろしいものだ、
というメッセージを一番強く受け取りました。
(直接は語られない描写がリアルすぎました、、、。)
しかしその一方で、映画の1/3くらいまで男女の話でしたし、
モーテルでのやりとりなどを見るに男女のすれ違いがメインテーマなのか?という
風にも思えます。
タイトルを改めてみてみると
"酒とバラの日々(Days of Wine and Roses)"
酒は散々出てきましたが、バラは出てきたっけ?となりました。
このバラとはハーステンのことなのかな?と思いました。
映画冒頭で有名な"酒とバラの日々"と映画製作に携わった人たちの名前が流れました。
たゆたうワインとそこに揺れるバラが映っています。
ワインはしっかりと見えるのですが、バラは半透明です。
これはつまり酒(ワイン)はすぐ手に入るが、バラ(人間)はそうでない
ということではないか?
というのも、
ジョーとハーステンは酒におぼれていった。
⇒酒を手に入れるのは簡単。
ジョーは最終的に断酒に成功したものの、バラ(ハーステン)を失った。
一方、ハーステンはやめられず、彼女にとってのバラ(ジョーと娘)を失った。
⇒酒はすぐ手に入るし、その気になれば断てるけど、
人間関係はそんな簡単なものではなく、
手に入りそうで入らない半透明で揺れるバラのようなものだ。
つまり酒と人間関係の対比が描きたかったということでしょうか。
いかがでしょうか、、、。
見当違いなことを考えている可能性も十二分にありますので
あくまで個人的な感想・考察ですね。
素直に酒は揺れるバラのように綺麗でつい手を出したくなる
というようにも考えられますし笑
以上今日はこんなところで終わります。
そういえば小学校の感想文みたいな記事のタイトルですね笑